“CAROL CHRISTIAN POELL”が長年作り続けているニット素材”PENTASIR”。
レザーウエア、シューズ、その他ハードな製品に比べるとプレーンで控えめな印象を受けますが、奇才が生み出す製品に「普通」」の文字あらず。ユニークなアプローチで衣服として商品化されています。
ガツンと来るインパクトはないものの、しっかり玄人をも納得させる不思議な魅力をもつセーター。
本日は少し深掘りしご紹介です。
SEAMLESS LONG SLEEVE ROUND NECK SWEATER
KM/2629-IN PENTASIR
Color : 11 (Dark green)
着用サイズ48 (モデル:178cm 56kg)
「シンプル」という言葉が当てはまる。けれどその一言で片付けるのが難しい妙なムードのクルーネックニット。
飾り気なく編み上げた使いやすいアイテムですが、写真向かって右側の突っ張りが目につきます。
左右の袖付けもそれぞれ異なるデザインのように見えるのがこの1枚の特徴の一つ。
向かって左側にはリブ編みとの切り替わりがフェイスで見え、右側はセットインのようで非対称。
これに合わせて首の開きもズレが生じ、肌の露出具合も異なります。
平置きでご覧いただくと上部の「ゆがみ」がどの程度かご確認いただけるかと思います。
脇より下は捻らずスタンダードなシルエット。あくまでポイントは首回りの一部のみです。
バックも同じ様子で非対称。要するにこのニットは首を中心に円を描きながら捻じりが加えられています。
一見プレーンなためシンプルに着こなせるのは間違いないのですが、着用時の外見的な違和感をわざと生じさせるキャロルらしい捻くれたアイデア。
着心地が少し心配になる方もいらっしゃいますが、不思議と体は何も感じず気軽にご着用いただけます。
そして核となるのはこのウールの素材感です。初めて触れるとコットンやリネンと誤解されがちなカラッとした肌触り。バージンウールとは思えない力強さはタフなボトムスやアウターに力負けせずコーディネートに取り入れていただけます。
防寒性は中程度。冬はコートの中に適任です。
細かい部分は企業秘密との事ですが、このニット生地には表面に特殊加工がなされているとの事。手で触れると糸に不思議な艶っぽさが感じられます。
背面に付けられたスナップボタンの受け側。これは表裏両方についており、画像のようにタグが取り外せるようになっています。
すなわちリバーシブルでも着ていただけるということ。
特段デザインが変わる訳ではないので、遊びの一つではありますが”CCP”がする事で何か他に理由があるのかと勘ぐってしまうのも面白いところです。
SEAMLESS LONG SLEEVES HIGH NECK SWEATER
KM/2630-IN PENTASIR
Color : 10 (Black)
着用サイズ46 (モデル:178cm 56kg)
同様にハイネックタイプも胸、肩のあたりに歪みが生じています。
首回りはそれなりに高さがあり、写真のようにクッションが付く程度。
フィットは決してタイトさの無い余裕を感じるシルエット。
背面のスナップもちょっと小話ができる程度に目につきます。
どうしても保守的になりがちな黒のニット。しかしながらこの他ならぬファブリックをもってすれば、他ブランドの製品とは大きく差別化が出来るように思います。
SEAMLESS LONG SLEEVE ROUND NECK SWEATER
KM/2629-IN PENTASIR
Color : 4 (Grey)
着用サイズ50 (モデル:176cm 70kg)
グレーカラーは編地がしっかり見えてコーディネートに刺激が入ります。
首開きが少し広めなので、インナーを軽く重ねて見せるのもお勧め。
以前イタリアの”CCP”のオフィスを訪ねた際、CEOのセルジオ氏がこのグレーのニットを着用なさっておりました。
首の詰まった白のカットソーをしっかり見せたスタイリングはとてもクールで今も忘れられません。
少し違和感がある方がファッションは面白いという事を改めて認識した瞬間でした。
それぞれカラーにも味があり、全色お持ちの方も多い名作セーター。
秋冬ファッションはどうしてもアウターで勝負に出ますが、ニットで調子を整えると楽しむ世界が大きく広がります。
先日の大量入荷でバリエーションも幅広くご用意しておりますので、是非この冬に向けて1枚取り入れていただけますと幸いです。
ご質問などもございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
皆様のご来店・ご利用を心よりお待ちしております。
SHELTERⅡ 山崎