11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON

スニーカーブーム。もはや流行りという言葉では片づけられないレベルで市場は拡大を続けています。

注目モデルは即完売。転売プラットフォームも次々増え、アメリカの投資関連会社によると転売市場だけで数年後には世界60億ドル規模のマーケットに成長するそうです。

どうやらこの勢いは一時的なブーストではなく、今後さらに争奪戦を楽しむコンテンツとなっていく事でしょう。そんな目算を立てながら対岸の大火事を眺めています。

当店そうしたノリとはあまり縁がなく、いわゆる限定ものやコラボを強く煽る機会は少ないのですが、

継続的に展開しているトピックとして”11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON”のダブルネーム商品がございます。

競争率何千倍のレアスニーカーとは言えませんが、製品として価値をしっかり感じられる1足。本日はこのシューズにスポットを当ててみます。少し長くなりそうですが、どうぞお付き合いくださいませ。

まずはそれぞれのブランドをざっとご紹介いたします。

“11 by BORIS BIDJAN SABERI”は当店が取り扱っているボリスビジャンサベリのいわゆるセカンドライン。

このセカンドという解釈も少し前までは、ファーストラインより価格手頃な普及版というのが第一義でしたが、ここ最近ではメインにはないストーリーを展開し、プライスレスな魅力を生み出しているケースも多いように思います。

アイテムはグラフィックやロゴデザイン、スポーツブランドとのコラボなど、デザイナーが若い頃から影響を受けてきたストリートカルチャーを強く表現。

ファーストラインにはないアクティブさと反骨的なメッセージは、ボリス氏の生き様から自然発生したようなムードが漂い、バラエティー豊かに商品が展開されています。

頭の”11″は彼の誕生日。ロゴマークとしても目に付くナンバーです。

そして”11 by BBS”のシューズを一挙に担うパートナーがこちら。

フランス東部、アヌシーに本社を構える”SALOMON”(サロモン)は、ノコギリとスキーエッジの家内工業として1947年に活動をスタートさせました。

アルプス地方での遊びを追求し、スキー製品などを開発。1972年にはビンディング(スキー板と靴を繋ぐ器具)の販売数が100万セットを超え、世界一のビンディングメーカーとなります。

スノーブーツなどフットウエアにおいても数多くのヒット商品を生み出し、1990年代からはサマースポーツの分野に進出。

現在では山の中を長距離走るトレイルランニング用のシューズやウエアの人気が非常に高く、世界中にファンを持つブランドです。

実は私も趣味で月に1、2回は山を走っており、競技を始めてからシューズはずっとサロモンのものを選んでいます。山道は当然のことながらアスファルトも走りやすく、デザインも非常に良いので昨今ファッション層に受けているのも納得。

2015年より始動したこの2ブランドのコラボも主にこのトレランシューズのノウハウを基に展開されています。

左 : BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (DIRTY GREY)

右 : BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (LIGHT GREY)

非常に軽快なフォルムと、スポーツアイテムらしからぬ製品染めのコクが魅力のコラボシューズ”BAMBA”。

スペイン語でスニーカーを指す言葉”BAMBA”(バンバ)をそのままモデル名としており、

同ブランド内のスニーカーにそれぞれ”BAMBA1″、”BAMBA2″と毎シーズン数字が割り当てられています。

BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (LIGHT GREY)

ベースのシューズはサロモン社が担当。製作したシューズにロゴを加えて、ボリス側が染色を行います。

今回ご紹介しているフロントジップデザインの”BAMBA2″は、このコラボの為だけに製作された特注モデル。サロモンが競技用として販売しているラインナップにもこの型は存在していません。

デザインからカラーリング、シューズボックスに至るまで、すべて2ブランドで共作したスペシャルモデルはボリス氏自身もお気に入り。

私が展示会で彼に会った時にも、以前のブログでもご紹介した“P13”にこのシューズを合わせていました。

スニーカーとしては小派といえるフロントジップデザインは、開くとシューレースも備えられ、細かいフィットの調節が可能です。着用時は紐加減をお好きな具合に調節いただき、次にジップを上げていただくと足を包み込む抜群のフィットを感じていただけます。

トレイルランは100kmを超える過酷なレースも多いため、疲労による足のむくみ対策として別サイズの靴に履き替える選手も居るほど。

そうした極限場面も想定し製品開発を行っているだけに、サロモン社が抱えているノウハウやアイデアの引き出しは非常に多く、ファッションに落とし込んだ際もやはり新鮮に映ります。

勿論シューレースのみでフィットはしっかり安定するので、スタイルとしてジップを開けての着用も可能です。

アッパー部分は一部メッシュに切り替え通気性をよくした非防水。

スポーツギアの性能を謳う場面で、防水、非防水どっちが良いかという論争はよく起こります。特にシューズは足が濡れると不快なため、防水が優秀とされがちですが、場面によってはデメリットとなることも。

私はトレラン中の川渡りも、あまり躊躇せず駆け抜けるので川底まで足がよく浸かりますが、サロモンの非防水シューズは水はけが抜群に良く、足が濡れた後も無理なく走り続けることができます。水を吸って靴の重さが極端に増すこともなければ、足蒸れもあまり気になりません。

この点は街履きにおいてもアピールできる重要なポイントです。快適な足元を保証いたします。

ソールもサロモン社の見識が詰まったオリジナル。

前後左右多方向から足に力が加わるよう計算されており、一般的なランニングシューズと比べると材の硬さはややハード。足の沈みは適度に抑え安定性が重視されています。

そしてこのシューズ最大のアピールポイントが製品染めが織りなす物々しい色模様。

染料のプールに未着色のシューズを漬け込んで染色をし、仕上がりはパートごとに色濃度が異なります。

先述のメッシュ部分は色が深く染み、その他の部分と自然な流れでコントラスト。さらにこのモデルは上部は染色していないローパートカラーとなっており、クリアな白との対比も刺激的です。

BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (DIRTY GREY)

スタイルでご覧いただくと、スニーカーのアクティブさと対極にあるクラフト感を同時にを感じていただけるのではないでしょうか。

この調子の良い違和感が、履き続けるといつしか病みつきに。スニーカー好きの方から見てもあまり類を見ない珍しいスタイルと言えるでしょう。

私個人的な意見としては、スニーカーは新品よりやや履き込んだ状態が理想なのですが、このシューズは履き下ろしからすでにウォーミングアップが済んでいて、最初からベストが楽しめます。

スニーカーはどうしても寿命があるため、なるべく良い状態を長期間楽しみたいのが理想。その願いを叶えてくれる非常にプロフェッショナルな1足と言えそうです。

ここ数年で企画数が格段に増えた異色ブランド間のコラボレーション。多様性を重視する現代人を刺激するには非常に有効な営みと言えるでしょう。

ファッションニュースを目にすると時に夫婦格差を感じる共作物も見られます。しかし最終的には2ブランドが名前を並べて世に放たれるのです。もちろんリアルなお金の話もありますが、そこには互いのリスペクトと熱い協議が必要なことは間違いありません。

多くのアスリートのチャレンジをサポートしてきたサロモンのプライド。斬新なアイデアで他にないファッションジャンルを確立しようとするボリスの感性。

お互いの信念から逸れることの無いよう完成させた商品には、それぞれ畑の違うファンを同時に納得させる使命があり、2ブランドの歩み寄りには、両者の信念を共有することが極めて重要。

コラボレーションは芯の無いブランドには難しい試みであると私は考えています。

互いにベストを尽くし妥協なく創り上げた間違いのない1足。ぜひ2ブランドの情熱を感じていただければ幸いです。

最後は少し暑苦しい話となってしまいましたが、この記事が履く方のエナジーに繋がることを心から願っております。

SHELTER2 山崎

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