cornelian taurus by daisuke iwanaga 特別企画 “process” vol.1

当店と同じ神戸を拠点に活動を行っているバッグブランド”cornelian taurus by daisuke Iwanaga”。

現状のコロナ禍において移動が制限される中、この距離の近さを活かした特別企画を本日よりスタートいたします。

お届けするメインテーマは一つのバッグが出来上がるまでの”プロセス”。革の仕入れ背景から実際の作業の様子まで、複数回のアトリエ訪問にて密着取材をさせていただきました。

この企画で世界初公開となる情報も多く、この場を借りてブランドメンバーの皆様には改めてお礼申し上げます。

具体的にお見せするのは、わたくし山崎がオーダーさせて頂いたバッグの製作風景。

今の仕事に就く前から大ファンだったブランドに全面協力いただき、念願のクロコダイルのカバンが目の前で出来上がります。

公私混同となり大変恐縮ですが、私がこの企画で得た学びと感動、そして何よりもブランドの魅力をこの特集を通じて皆様と共有できますと幸いです。

※この企画は毎週1回更新の全4~5回で当店ブログページよりお届けいたします。

ブランドがアトリエを構えるのが、神戸の中心地「三宮」から電車で2駅のエリア「王子公園」。

南北にそれぞれ海と山が隣接する爽やかなロケーションで、穏やかな空気が流れています。

もっとも有名なスポットはパンダの居る動物園「王子動物園」。神戸生まれの人間にとっては、とても馴染み深い街と言えるでしょう。

駅からほんの数分歩くと見えてくるブランドの本拠地は、真上を電車が走る高架下。

写真で見て左側がアトリエ。隣にはギャラリーが併設されていて、一般クリエイターへのスペース提供も行っています。

数分おきに電車の走行音があり一見集中しづらい環境にも思えますが、大きな音の出る作業があまり周囲を気にせず行えるというメリットも。

こうした立地を好む職人の方も多いとのことです。

雰囲気のある木のドアを開けるとそこには道具や資材がぎっしり。まさに職人の仕事場といった景色が広がります。

ここがコーネリアンタウラスのアトリエです。

吹き抜けた上階と地下室も存在し、まるで秘密基地のようなレイアウト。ここで日々バッグが作られているかと思うと興奮せずにはいられません。

中央には大きな作業台。そしてそれを取り囲むようにミシンなどの機械類。

このアトリエでは主にクロコダイル・オーストリッチレザーの商品製作に加え、新作の考案やサンプル作りなどが日々行われています。

ブランドの象徴的なバッグのハンドルもすべてここで制作。実はこの部分の製作はデザイナー岩永さんのお父さんが主に担当なさっています。

元々潜水士のお仕事をされていたこともあり、手先の器用さはメンバー内でも随一。この日も非常に丁寧に作業をなさっておられました。

第一回目の取材では実際に作業を見せていただく前に、使用しているレザーについてお話しを伺わせていただきました。

まず見せて頂いたのはブランドの看板素材の一つ、カウミネラルオイル。

油分をたっぷり含んだ上質な牛革は、多くの人気アイテムに使用されている国産品です。

この革の鞣しを担当しているのが、日本トップクラスのタンニン技術を有し海外からの評価も高い「栃木レザー株式会社」。

80年以上の歴史を持つ腕の確かなタンナーが手掛ける、拘りの天然皮革が多くの名作の素となっています。

革のサイズはデシという単位で図られ、[1デシ=〇〇円]といった値付けに基づいて素材の仕入れが行われます。

裁断前に行われるのが、素材一つ一つの個体差に合わせたパターンの割り当て作業。

革は生きた動物から得られる副産物のため、タテヨコの縮尺に自由は利きません。限られた枠の中どのバッグをどのように作るかという計画がとても重要です。

天然皮革は当然のことながら傷やスレも少なからず点在。

1枚の革の中でも箇所によって質感や硬さも異なる中で、極力無駄なく素材を使い切れるよう、悩みながら型紙を置いていきます。

使用している型紙はすべて岩永さんが手書きで仕上げた言わば設計図。ここまで披露いただくのは本当に貴重です。

直線は定規を用いてまっすぐ引かれるそうですが、曲線部は基本フリーハンド。道具を用いず感覚的に引くことで、細かい部分にもオリジナリティーが生まれ、自分なりに納得のいくデザインが起こせるそうです。

写真で岩永さんが手に持っているのは、2021秋冬の新作”tower RUCK PRO”のサンプルモデル。

企画段階で制作したものを実際に使ってみる事で改善点が見つかり、その都度パターンにも修正がかけられます。

コーネリアンの商品を使えば使うほど、シルエットに個性が出るのもこの過程から。

革が馴染んだ後の表情、角の出方やラインのゆがみなども細かく考察し、使い込んだ後の仕上がりも踏まえてデザインしていくというわけです。

商品が完成し展示会で発表した後は、販売店からのオーダーを取りまとめ素材を手配し生産がスタート。エキゾチックレザー以外の製作は、パートナー企業に生産依頼を行います。

コーネリアンの商品はその独自性から、一般的なバッグ作りには用いない特殊技法や細かい工程が必要なため、作業を引き受けてくれる工場の存在は非常に貴重です。この間のコミュニケーションは商品の仕上がりに直結するため、日々丁寧な打ち合わせが行われ、現場で使用される仕様書は岩永さんの手によって綿密に作られています。

長い付き合いとなるこの依頼先はバッグ業界の超ベテラン。実際作業をするのも腕利きの職人の方が多く、岩永さんも絶対的に信頼しているブランドに欠かせない存在です。依頼をする上でのやり取りの中で新しいアイデアが生まれたり、アドバイスを受けてさらに商品が良くなることもあるそうです。

今回はvol.1ということで、商品を作る前段階の裏の部分をご覧いただきました。

次回からは本題のクロコダイルレザーが登場し、実際の作業風景をご覧いただきます。何卒ご期待くださいませ。

“process” vol.2

SHELTER2 山崎

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